和歌山県田辺市にある【熊野本宮大社】は、熊野三山のひとつで境内は史跡、第一殿から第四殿までが国の重要文化財に指定されている神社です。ここの御朱印帳には「八咫烏」があしらわれていて、厳かな感じがします。
この神社は、熊野三山の中心で、全国にある4千7百社余りの熊野神社の総本宮です。御祭神は熊野三山に共通する「熊野十二所権現」と呼ばれる十二柱の神々で、奈良時代からは神仏習合を取り入れて十二社の御祭神には仏名が配されています。
本宮の境内には史跡も多く、第一殿から第四殿までは国の重要文化財に指定されています。また、”八咫烏、舞い降りし甦りの聖地”と形容されるとおり、「神武東征」などの古代天皇の事蹟に深く関わる場所なのです。
初代天皇・神武の東征に際して、熊野国造家の祖神・天火明命(あめのほあかりのみこと)の息子・高倉下(たかくらじ)が、熊野で神武に天剣「布都御魂(ふつのみたま)」を献じて迎えました。同じ頃、天から「八咫烏(やたがらす)」が遣わされ、神武を大和の橿原まで導いたのです。
この八咫烏は導きの神として信仰されていて、太陽の化身ともされます。日本サッカー協会のシンボルとして採用されている八咫烏は、その特徴的な三本足に神・自然・人が同じ太陽から生れた兄弟だという意味があるのです。
十代天皇・崇神の頃、熊野の旧社地大斎原(おおゆのはら)に三体の月が降臨するのですが、これが熊野夫須美大神(伊邪那美大神)・速玉之男大神(伊邪那岐大神)・家都美御子大神(素戔嗚尊)で、第一殿から第三殿に祀られています。
神社ではお参りの順番を、神殿内(第三殿・第二殿・第一殿・第四殿=天照大神・満山社=八百万の神)→産田社(伊邪那美命の荒御魂)→大斎原としています。
ここの御朱印は、通常・記念・大斎原・産田社のものなどいくつかあります。どの御朱印にも八咫烏の朱印が押されていて、厳かな雰囲気を醸し出しています。
通常のものは、中央に社名の墨書き・朱印と八咫烏の朱印、右に「奉拝」の墨書きで左に日付という構成です。これが創建2050年記念の限定のものでは、文字は金泥、紙がきれいな水色のものに変わりました。
大斎原のものは中央の墨書きが通常の「熊野本宮」から「大斎原」となり、産田社のものでは「産田社」に変わるのです。いずれの御朱印でも創建2050年の時は、「奉拝」の墨書きの更に右側に「御創建二千五十年」と朱印が押されました。
ここの御朱印帳は、黒っぽい下地に社殿があしらわれたものでその上に八咫烏の紋が金色に輝いています。値段は千五百円で、創建記念の時には右側に「創建二千五十年」の金文字もありました。
また、大判サイズのものになると値段は3千円とちょっと高額にはなりますが、黒い八咫烏の紋とその両側の皇室の菊花紋の入った幕が張られた門を通して見た社殿という構図の逸品が手に入ります。
ここへのアクセスは、各種バスを使って本宮大社前バス停まで行くのが便利です。
JR新宮駅からは熊野交通又は奈良交通のバスで1時間20分、明光バスで1時間で本宮大社前バス停まで行くことができます。JR紀伊田辺駅からだと龍神自動車のバス2時間ほどと明光バスで1時間35分、JR紀伊勝浦駅からふだと熊野交通のバスで1時間半ほどで行けます。
近鉄大和八木駅からだと奈良交通の十津川特急バスで5時間ほど、南紀白浜空港からだと明光バスで2時間22分で本宮大社前バス停まで行くことができます。
「よみがえりの聖地」とも言われる熊野の地で日本の心を甦らせて、由緒ある「八咫烏」のあしらわれた御朱印と御朱印帳を手に入れて、魂にパワーを充電するのも良いでしょう。